田中文彦 原著論文 (2008年度)
Fumihiko Tanaka, Tsuyoshi Koga, Hiroyuki Kojima, and Françoise M. Winnik
“Temperature- and Tension-Induced Coil−Globule Transition of Poly(N-isopropylacrylamide) Chains in Water and Mixed Solvent of Water/Methanol”
Macromolecules, Vol. 42, 1321-1330 (2009)
【概要】水溶性の感熱高分子であるポリイソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)水溶液は,31℃付近で20 wt%程度まで分子量に依存しない平坦なLCST型の曇点曲線を持つ.狭い温度領域で透過度が急激に減少するのは高分子のシャープなコイル-グロビュール転移が起こることと結びつき感熱性の発現機構と関係している.PNIPAMの感熱性の物理的原因は永く謎であったが,我々は最近水和の協同性に由来する束縛水の集団(脱)水和によることを指摘し,高分子の協同水和理論を構築して特異なLCST現象を説明するのに成功した.スピノダル線も希薄領域を除いて曇点曲線と同様に平坦な線になり,溶液を加熱してスピノダル線内側の不安定領域に入れても数百nmスケールの微粒子が形成されるだけで相分離には至らない.メソグロビュールと呼ばれるこのような微粒子はポリマーの凝集体からなり,内部はガラス状態に近い高密度(80%wt程度)と推定される.このようなPNIPAM水溶液にメタノールを混合すると,メタノールはPNIPAMの良溶媒であるにも拘わらず鎖の収縮,ゲルの相転移,相分離の誘起などの貧溶媒性を示す.良溶媒を2種混合すると貧溶媒になる現象は「共貧溶媒性}」(cononsolvency)と呼ばれる.水/メタノール系ではメタノールのモル分率が0.35あたりで貧溶媒性が顕著であり,メタノール過多領域では本来の良溶媒性を回復する.このような奇妙な振舞いは,水分子とメタノール分子の高分子鎖への競争的水素結合吸着が原因であり,競合が最も激しくなる溶媒組成で水分子とメタノール分子を合わせた総吸着量(水素結合数) が最小になるためであることを,理論モデルと実験との比較により推論した .
“Temperature- and Tension-Induced Coil−Globule Transition of Poly(N-isopropylacrylamide) Chains in Water and Mixed Solvent of Water/Methanol”
Macromolecules, Vol. 42, 1321-1330 (2009)
【概要】水溶性の感熱高分子であるポリイソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)水溶液は,31℃付近で20 wt%程度まで分子量に依存しない平坦なLCST型の曇点曲線を持つ.狭い温度領域で透過度が急激に減少するのは高分子のシャープなコイル-グロビュール転移が起こることと結びつき感熱性の発現機構と関係している.PNIPAMの感熱性の物理的原因は永く謎であったが,我々は最近水和の協同性に由来する束縛水の集団(脱)水和によることを指摘し,高分子の協同水和理論を構築して特異なLCST現象を説明するのに成功した.スピノダル線も希薄領域を除いて曇点曲線と同様に平坦な線になり,溶液を加熱してスピノダル線内側の不安定領域に入れても数百nmスケールの微粒子が形成されるだけで相分離には至らない.メソグロビュールと呼ばれるこのような微粒子はポリマーの凝集体からなり,内部はガラス状態に近い高密度(80%wt程度)と推定される.このようなPNIPAM水溶液にメタノールを混合すると,メタノールはPNIPAMの良溶媒であるにも拘わらず鎖の収縮,ゲルの相転移,相分離の誘起などの貧溶媒性を示す.良溶媒を2種混合すると貧溶媒になる現象は「共貧溶媒性}」(cononsolvency)と呼ばれる.水/メタノール系ではメタノールのモル分率が0.35あたりで貧溶媒性が顕著であり,メタノール過多領域では本来の良溶媒性を回復する.このような奇妙な振舞いは,水分子とメタノール分子の高分子鎖への競争的水素結合吸着が原因であり,競合が最も激しくなる溶媒組成で水分子とメタノール分子を合わせた総吸着量(水素結合数) が最小になるためであることを,理論モデルと実験との比較により推論した .
Fumihiko Tanaka, Tsuyoshi Koga, and Françoise M Winnik
“Temperature-Responsive Polymers in Mixed Solvents: Competitive Hydrogen Bonds Cause Cononsolvency”
Physical Review Letters, Vol. 101, 028302-1 – 028302-4 (2008)
【概要】水溶性の感熱高分子であるポリイソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)水溶液は,31℃付近で20 wt%程度まで分子量に依存しない平坦なLCST型の曇点曲線を持つ.狭い温度領域で透過度が急激に減少するのは高分子のシャープなコイル-グロビュール転移が起こることと結びつき感熱性の発現機構と関係している.PNIPAMの感熱性の物理的原因は永く謎であったが,我々は最近水和の協同性に由来する束縛水の集団(脱)水和によることを指摘し,高分子の協同水和理論を構築して特異なLCST現象を説明するのに成功した.スピノダル線も希薄領域を除いて曇点曲線と同様に平坦な線になり,溶液を加熱してスピノダル線内側の不安定領域に入れても数百nmスケールの微粒子が形成されるだけで相分離には至らない.メソグロビュールと呼ばれるこのような微粒子はポリマーの凝集体からなり,内部はガラス状態に近い高密度(80%wt程度)と推定される.このようなPNIPAM水溶液にメタノールを混合すると,メタノールはPNIPAMの良溶媒であるにも拘わらず鎖の収縮,ゲルの相転移,相分離の誘起などの貧溶媒性を示す.良溶媒を2種混合すると貧溶媒になる現象は「共貧溶媒性}」(cononsolvency)と呼ばれる.水/メタノール系ではメタノールのモル分率が0.35あたりで貧溶媒性が顕著であり,メタノール過多領域では本来の良溶媒性を回復する.このような奇妙な振舞いは,水分子とメタノール分子の高分子鎖への競争的水素結合吸着が原因であり,競合が最も激しくなる溶媒組成で水分子とメタノール分子を合わせた総吸着量(水素結合数) が最小になるためであることを,理論モデルと実験との比較により推論した .
“Temperature-Responsive Polymers in Mixed Solvents: Competitive Hydrogen Bonds Cause Cononsolvency”
Physical Review Letters, Vol. 101, 028302-1 – 028302-4 (2008)
【概要】水溶性の感熱高分子であるポリイソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)水溶液は,31℃付近で20 wt%程度まで分子量に依存しない平坦なLCST型の曇点曲線を持つ.狭い温度領域で透過度が急激に減少するのは高分子のシャープなコイル-グロビュール転移が起こることと結びつき感熱性の発現機構と関係している.PNIPAMの感熱性の物理的原因は永く謎であったが,我々は最近水和の協同性に由来する束縛水の集団(脱)水和によることを指摘し,高分子の協同水和理論を構築して特異なLCST現象を説明するのに成功した.スピノダル線も希薄領域を除いて曇点曲線と同様に平坦な線になり,溶液を加熱してスピノダル線内側の不安定領域に入れても数百nmスケールの微粒子が形成されるだけで相分離には至らない.メソグロビュールと呼ばれるこのような微粒子はポリマーの凝集体からなり,内部はガラス状態に近い高密度(80%wt程度)と推定される.このようなPNIPAM水溶液にメタノールを混合すると,メタノールはPNIPAMの良溶媒であるにも拘わらず鎖の収縮,ゲルの相転移,相分離の誘起などの貧溶媒性を示す.良溶媒を2種混合すると貧溶媒になる現象は「共貧溶媒性}」(cononsolvency)と呼ばれる.水/メタノール系ではメタノールのモル分率が0.35あたりで貧溶媒性が顕著であり,メタノール過多領域では本来の良溶媒性を回復する.このような奇妙な振舞いは,水分子とメタノール分子の高分子鎖への競争的水素結合吸着が原因であり,競合が最も激しくなる溶媒組成で水分子とメタノール分子を合わせた総吸着量(水素結合数) が最小になるためであることを,理論モデルと実験との比較により推論した .
