Hiroshi Watanabe
“Slow Dynamics in Homopolymer Liquids”
Polym. J., Vol. 41, 929-950 (2009)
【概要】ホモポリマー系の長時間ダイナミクスについての最新の知見のレビュー。絡み合いがもたらす鎖内運動の相関や、最新の管モデルが内包する問題点と改良の方向性などについて、粘弾性緩和データと誘電緩和データに基づく解説がなされている。(2008年度高分子学会賞受賞論文)
Hiroshi Watanabe
“Dynamic Tube Dilation in Branched Polymers”
Prog. Theor. Phys. Suppl., Vol. 175, 17-26 (2008)
【概要】絡み合った星形分岐ポリイソプレン (PI) および第二世代ケイリー樹型 PI の誘電緩和挙動と粘弾性緩和挙動の比較から、広く用いられている完全管膨張の描像には不備があり、これらの挙動を統一的には記述できないこと、時間スケールと空間スケールの整合的粗視化を行った部分的管膨張の描像ならばこの統一的記述が可能となることを解説した。
Yushu Matsushita
“Precise Molecular Design of Complex Polymers and Morphological Control of Their Hierarchical Multiphase Structures”
Polymer J., Vol. 40, 177-183 (2008)
【概要】種分子の結合性に注目し、構造の明確な様々なブロック共重合体と関連したモデル高分子をデザインし、そのナノスケールの階層構造観察からモルフォロジー制御を実現した。対象の共重合体は、I(polyisoprene), S(polystyrene),P(poly(2-vinylpyridine)からなるP(IS)4IP型の多元ブロック共重合体、ISP星型共重合体、IP/SHブロック共重合体ブレンドなどであり、二重周期ラメラ構造、アルキメデスタイリング構造、準結晶タイリング構造など様々な階層的なナノ相分離構造が発見されている。(18年度高分子学会賞に対する招待論文である。)
髙田じゆん, 渡辺宏
“相溶性高分子ブレンド系中の高分子鎖ダイナミクス”
Expected Materials for the Future, Vol. 8, 52-59 (2008)
【概要】相溶性のポリイソプレンとポリ(p-t-ブチルスチレン)のブレンド系の粘弾性データと誘電データの対比から、成分鎖のダイナミクスの詳細を検討した。その結果、速い成分鎖にとっては濃度場の動的不均一性が摩擦場の不均一性と等価となるので、この成分鎖は温度-時間換算則に従わないこと、遅い成分鎖の緩和の時間スケールではこの不均一性が平滑化されるので、この鎖については同換算則が成立することなどを見出した。
Toshiji Kanaya, Go Matsuba, Yoshiko Ogino, Nobuaki Takahashi, and Koji Nishida
“Quantum Beam Studies on Polymer Crystallization under Flow”
Polymer Journal, Vol. 39, 1085-1097 (2007)
【概要】永年の未解決問題である流動場下にける高分子結晶化の機構の解明に向けてX線、中性子線などのいわゆる量子ビームを用いた研究手法を用いた研究の進展をレビューした。(金谷利治:レビューのとりまとめ)
Go Matsuba, Koji Nishida, and Toshiji Kanaya
“せん断流動場における高分子結晶化過程の小角X線散乱測定”
PF NEWS, Vol. 25, 15-18 (2007)
【概要】高エネルギー加速器研究機構の物質構造科学研究所内放射光科学研究施設(PF)等を用いたせん断流動場における高分子結晶化過程の小角X線散乱測定についてレビューした。(金谷利治:監修)
川口大輔,高野敦志,松下裕秀
“高分子量環状ポリスチレンのキャラクタリゼーションと相互拡散挙動”
高分子論文集, Vol. 64, 397-405 (2007)
【概要】両末端反応性線状プレカーサーの分子内末端カップリング反応による大環状ポリスチレンを合成した。それをスルホン化した環状ポリスチレンスルホン酸ナトリウムをマイカ基板上に分散させた後、一分子鎖の形態を原子間力顕微鏡で観察することで、環状構造の証明をした。環状ポリスチレンの純度を液体クロマトグラフィー測定により決定した。高純度環状ポリスチレンの溶融状態における相互拡散挙動を評価し、線状ポリスチレンのそれと比較した。環状ポリスチレンの相互拡散は線状のそれより著しく速いことを明らかにした。(田中敬二、長村利彦:動的二次イオン質量分析測定)
柴山充弘
“中性子散乱・光散乱による高分子水溶液・ゲルの圧力誘起相分離と疎水性相互作用の研究”
高圧力の科学と技術, Vol. 17, 131-143 (2007)
【概要】小角中性子散乱および光散乱による疎水性高分子溶液・ゲルの相挙動の圧力・温度依存性の研究について、最近の研究成果を述べた。(1)一般的に(P,T)座標上で上に凸の形をもつ再帰的な相図となること、(2)ゲルでは架橋不均一性に由来する凍結した揺らぎが存在すること、(3)弱荷電性感熱ハイドロゲルでは、LCST以上にてミクロ相分離構造が発現し、SANS領域に散乱極大が現れること、などの成果が得られた。
Mitsuhiro Shibayama
“Universality and Specificity of Polymer Gels Viewed by Scattering Methods”
Bull. Chem. Soc. Jpn., Vol. 79, 1799-1819 (2006)
【概要】物理及び化学ゲルに対する新奇な非破壊・実時間ゲル化点決定法の提案をおこなった。この時間分割動的光散乱 (TRDLS) 法はゲル化点の決定だけでなく、ゲル化点近傍の臨界ダイナミクスに関する知見を与える。このTRDLSをさまざまなゲルに適用し、非エルゴード性、不均一性、臨界現象の観点からゲルの特殊性(ゲルの化学)と普遍性(ゲルの物理)について議論した。(受賞講演論文)
柴山充弘,狩野武志
“ハイパーゲルに学ぶ架橋機構”
ネットワークポリマー, Vol. 27, 159 – 166 (2006)
【概要】近年、全く新しい概念に基づくゲルが相次いで開発されてきている。それらはいずれも驚異的な力学物性を持っており、さまざまな用途開発が進行中である。この総説では小角中性子散乱や光散乱を使ってそうしたゲルの構造やダイナミクスを研究した成果を紹介し、なぜそのような物性が発現するかについて議論するとともに、新奇ネットワークポリマーに寄せる期待について述べた。
F. Tanaka
“Theory of Molecular Association and Thermoreversible Gelation”
Molecular Gels—Self-Assembled Fibrillar Networks—, Vol. 1, 01-68 (2006)
【概要】1988年より展開してきた「会合高分子溶液理論」を系統的にレビューし,水素結合系,疎水会合系,重縮合系等に応用して得られた結果を総括した。会合により誘起されるマクロおよびミクロ相分離,ゾル・ゲル転移,液晶化,へリックス・コイル転移,コイル・グロビュール転移,等の相転移(類似)現象を解析し,通常の相転移とは異なる多くの新しい知見が得られた。
Hiroshi Watanabe and Tadashi Inoue
“Role of Chain Connectivity in Viscoelastic Properties of Polymeric Liquids: A Review”
Materials Science & Engineering A, Vol. 442, 361-366 (2006)
【概要】高分子の絡み合い緩和とセグメント緩和の双方に対して、鎖の連結性が大きな役割を果たしていることを実験的に示し、絡み合い緩和については管モデルの有効性と限界を解説した。(Tadashi Inoue:セグメント緩和の解析)
Hiroshi Watanabe
“Description of Entanglement Dynamics of Flexible Polymers: Self-Consistent Coarse-Graining in Length and Time Scales”
AIP Conference Proceedings (Flow Dynamics), AIP, New York, Vol. 832, 349-353 (2006)
【概要】屈曲性高分子の絡み合い緩和の分子モデルについて説明し、特に、管膨張機構の適用性と限界、束縛解放機構の基本的重要性について解説した。