田中敬二 原著論文 (2009年度)

Yoshihisa Fujii, Toshihiko Nagamura, and Keiji Tanaka
“Relaxation Behavior of Poly(methyl Methacrylate) at a Water Interface”
J. Phys. Chem. B, Vol. 114, 3457-3460 (2010)
【概要】水平力顕微鏡(LFM)測定に基づき、水界面におけるポリメタクリル酸メチル(PMMA)の緩和挙動を評価した。水界面では水分子によって可塑化されたセグメント運動が観測された。水界面におけるPMMAのガラス転移温度は、水分率からKelley-Bueche式を用いて推測した値と実験誤差範囲内で一致した。
Hironori Atarashi, Hiroshi Morita, Dai Yamazaki, Masahiro Hino, Toshihiko Nagamura, and Keiji Tanaka
“Swelling Structure of Thin Poly(methyl methacrylate) Films in Various Alkyl Length Alcohols”
J. Phys. Chem. Lett., Vol. 1, 881-885 (2010)
【概要】中性子反射率測定に基づき、非溶媒中におけるポリメタクリル酸メチル(PMMA)薄膜の凝集構造を評価した。非溶媒として、メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノールを用いた。PMMA薄膜はこれらアルコール中で明確に膨潤し、その程度は、アルキル鎖長に反比例した。また、薄膜中におけるアルコール分率から相互作用パラメータχを算出し、アルコール界面の厚さ、また、基板界面におけるアルコール濃縮層について議論した。
Yoshihisa Fujii, Zhaohui Yang, Jessica Leach, Hironori Atarashi, Keiji Tanaka, and Ophelia K. C. Tsui
“Affinity of Polystyrene Films to Hydrogen-Passivated Silicon and Its Relevance to the Tg of the Films”
Macromolecules, Vol. 42, 7418-7422 (2009)
【概要】ガラス転移温度の膜厚依存性に及ぼす基板の効果を検討した。Si基板上に調製したポリスチレン(PS)に熱処理を行った後洗浄し、基板上に吸着したポリスチレン(PS)を偏光解析およびX線光電子分光測定に基づき評価した。疎水性および親水性いずれのSi基板上にも吸着PSが観測された。さらに、吸着層はPSの分子量の増加に伴い厚化し、その程度は疎水性Si基板の方が顕著であった。また、PSの基板界面への吸着は、界面近傍の分子鎖熱運動の低下を示唆している。
Kei-ichi Akabori, Hironori Atarashi, Masaaki Ozawa, Tetsuo Kondo, Toshihiko Nagamura, and Keiji Tanaka
“Glass Transition Behaviour of Hyper-branched Polymers”
Polymer, Vol. 50, 4868-4875 (2009)
【概要】種々の一次構造を有する多分岐ポリスチレン(HBPS)を用い、ガラス転移ダイナミクスに及ぼす分岐の効果を検討した。HBPSのガラス転移温度(Tg)は、末端基効果のため、線状ポリスチレン(PS)のTgよりも低下するが、分子内架橋を多く導入するとその関係は逆転した。この結果は、分子内架橋を導入することで、HBPSのセグメント運動が拘束されることを意味している。一方、HBPSのフラジリティーインデックスは、その一次構造に関係なく、PSのそれよりも小さかった。(深尾浩次:ディスカッション)
Yoshihisa Fujii, Hironori Atarashi, Masahiro Hino, Toshihiko Nagamura, and Keiji Tanaka
“Interfacial Width in Polymer Bilayer Films Prepared by Double Spin-coating and Floating Methods”
ACS Appl. Mater. Interfaces, Vol. 1, 1856-1859 (2009)
【概要】ダブルスピンキャストおよびフローティング法により(ポリスチレン/ポリメタクリル酸メチル) 二層膜を調製した。中性子反射率測定に基づき評価した界面厚は、ダブルスピンキャスト法の方がフローティング法と比較して3倍程度広がっていた。これは、上層を調製する際の選択溶媒によって下層界面が膨潤することを示唆している。また、熱処理後の界面厚が等しかったことから、擬平衡状態における界面厚は、膜の調製法に依存しないことを明らかにした。
Takaaki Date, Mizuki Ishikawa, Koichiro Hori, Keiji Tanaka, Toshihiko Nagamura, Makio Iwahashi, and Takeshi Serizawa
“Water Droplets for the Symmetric Adhesion of Two Poly(methyl methacrylate) Films”
Chem. Lett., Vol. 38, 660-661 (2009)
【概要】ポリメタクリル酸メチル(PMMA)薄膜上に水を滴下した後、同様のPMMA薄膜を重ね合わせることで接着力が発現することを明らかにした。接着強度は試料のタクティシティー、熱処理の有無などに依存した。
Keiji Tanaka, Yohei Tateishi, Yohei Okada, Toshihiko Nagamura, Masao Doi, and Hiroshi Morita
“Interfacial Mobility of Polymers on Inorganic Solids”
J. Phys. Chem. B, Vol. 113, 4571-4577 (2009)
【概要】エバネッセント励起蛍光寿命測定に基づき、基板界面における高分子のガラス転移温度を直接評価した。その結果、界面Tgの深さ依存性や支配因子が明らかとなった。得られた実験結果は粗視化分子動力学シミュレーションによる結果とよく対応していた。
tag_iconTags: | | 2010/04/25