Hiroshi Jinnai, Richard J. Spontak, and Toshio Nishi
“Transmission Electron Microtomography and Polymer Nanostructures”
Macromolecules, Vol. 43, 1675-1688 (2010)
【概要】高分子不均一構造の評価のために開発された種々の3次元イメージング法について、その特徴と分解能について述べ、それぞれの手法による最新の研究例ついて概説した。また、3次元イメージング法の今後と高分子科学への貢献についても議論した。
Fenhua She, Kenichi Nihara, Weimin Gao, Peter D. Hodgson, Hiroshi Jinnai, and Lingxue Kong
“3-Dimensional Characterization of Membrane with Nanoporous Structure Using TEM Tomography and Image Analysis”
Desalination, Vol. 250, 757-761 (2010)
【概要】メンブレンのナノ細孔構造は三次元的に変化に富み、それによって濾過・脱塩能力、ファウリングポテンシャル、ひいては生成される水の水質に顕著な影響を及ぼす。したがって三次元ナノ細孔構造に関する知見は膜の性能を理解し、予見する為に不可欠なものである。透過電子線トモグラフィー、画像処理および三次元再構築を組み合わせた新規手法を、膜のナノ構造解析手法として紹介する。再構成アルゴリズムによってあらゆる方向から非破壊的に三次元ナノ細孔構造を可視化できる。この新技術によって濾過性能をより深く理解し、より正確に予見する事ができるであろう。
Shu Hotta, Yoichi Sakurai, Yuki Okuda, Tomoharu Miki, Kazuyuki Matsunaga, Fumio Hirato, Takeshi Yamao, and Hiroshi Jinnai
“Grating-Assisted Spectrally-Narrowed Emissions from an Organic Slab Crystal Excited with a Mercury Lamp”
J. Nanosci. Nanotechnol., Vol. 10, 440-447 (2010)
【概要】2,5-ビス(4-ビフェニリル)チオフェン(BP1T)の有機半導体スラブ結晶から、弱い励起強度下で狭線発光が観察される。この発光は1A以下の家庭用電源で作動する水銀ランプによって生じた。BP1Tスラブ結晶は分布ブラッグ反射器を備えている。この構造を完成させるため、スラブ結晶は石英ガラス基質表面上の回折格子に密着させる。回折格子はナノメートル単位の精度をもつ集束イオンビームを用いて精密に形成させる。発光強度の増加をともなう狭線化は、格子領域内で電磁波の前進波と後退波(反射派)の間に強いモード結合が生じることと関連している。レーザーを用いて、強励起強度下でのBP1T結晶の発光測定も行った。この発光は縦多モードレーザー発振と見られ、郡屈折率は4.56であった。強、弱双方の励起強度下ともに、励起子発光が優勢種である。狭線発光へのこれらの関与について簡単に議論する。
Yue Zhao, Kari Thorkelsson, Alexander J. Mastroianni, Thomas Schilling, Joseph M. Luther, Benjamin J. Rancatore, Kazuyuki Matsunaga, Hiroshi Jinnai, Yue Wu, Daniel Poulsen, Jean M. J. Fréchet, A. Paul Alivisatos, and Ting Xu
“Small-molecule-directed Nanoparticle Assembly Toward Stimuli-responsive Nanocomposites”
Nat. Mater., Vol. 8, 979-985 (2009)
【概要】複数の長さスケールにおいて、ナノ粒子などのナノ領域の構造体の空間構成を精密に制御することが、技術的に重要度の高い材料をボトムアップ方式で創製する上でボトルネックになっている。表面改変をしないでナノ粒子を組織化する手法はわずかしか報告されていない。本報では、低分子とブロック共重合体の組み合わせで、入手容易なナノ粒子を刺激応答性に階層構造を形成させることのできる、シンプルかつ応用範囲の広い手法を示す。ナノ粒子およびブロック共重合体の双方とも化学改変すること無く、ナノ粒子の1次元、二次元、三次元配向を、粒子間の分散と配列を制御しつつ組織化する事ができた。熱あるいは光反応性のナノコンポジットを用いて、熱や光の照射、あるいは局所環境を変化させる事でナノ粒子の空間分布を変化させる事ができる。本法は幅広いナノ粒子に適用可能であり、既存の形成加工にも適合するので、機能デバイスの生成に支障のない手法が可能となる。
Priyanka Dobriyal, Hongqi Xiang, Matsunaga Kazuyuki, Jiun-Tai Chen, Hiroshi Jinnai, and Thomas P. Russell
“Cylindrically Confined Diblock Copolymers”
Macromolecules, Vol. 42, 9082-9088 (2009)
【概要】ラメラ、シリンダー、スフィア形成性のポリスチレン-b-ポリブタジエン(PS-b-PBD)ブロック共重合体(BCPs)を、溶融状態で陽極酸化アルミナ(AAO)膜の細孔に毛細管力で取り込ませた。熱重合の後、AAOを弱酸で溶解し、BCPのナノロッドを取り出し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて取り込まれたBCPsの形態を調べた。BCPのミクロ相分離に対する閉じ込めの効果を調べる為にAAO内の細孔の直径とブロック共重合体の分子量は変動させた。二次元拘束下のラメラ形成性BCPsでは同心円柱が観察され、ラメラの反復周期の偏向をAAO細孔の直径の関数として測定した。さらに、閉じ込めの度合いが増すに連れトラス状構造も観察された。バルクシリンダー形成性BCPでは、積層トラス様構造、一重、二重、三重らせん構造といったバルクでは見られないような多様な構造が観察された。特定の構造は、D/L0(DはAAP細孔直径、L0はBCPのバルクでの周期)に依存した。D/L0は0.92から2.22まで変動した。バルクスフィア形成性BCPsでは、コアシェルシリンダー状構造、球状ミクロドメインの単一カラム、または二つ組、三つ組球状ミクロドメインのらせん構造が見られた。透過型電子顕微鏡観察はトモグラフィーモード(TEMT)でも実施し、三次元構造を定量的に決定した。見つかった構造は拘束されたBCPsの最近のシミュレーション結果と一致した。
Haruko Saito, Masahiro Yoshinaga, Takaaki Mihara, Toshio Nishi, and Hiroshi Jinnai
“The Interface Dynamics of Bicontinuous Phase Separating Structure in a Polymer Blend”
J. Phys.: Conf. Ser., Vol. 184, 12029-12029 (2009)
【概要】スピノーダル分解(SD)過程での相分離パターンの時間発展を、X線CTを用いて同一ボリュームで観察した。経時的三次元像を吟味した結果、ブリッジ様ドメインが相分離のダイナミクスに重要な役割を果たしている事が明らかになった。SDの過程でブリッジ様ドメインのうち一部はより太く、他は細くなっていく。界面の平均曲率を通して、界面間の圧力差を定量化したところ、この圧力差が界面のダイナミクスに影響を及ぼしていることが分かった。
Tohsio Nishi, So Fujinami, Ken Nakajima, Hidekazu Sugimori, Masahiro Hatta, Martin Weber, and Hiroshi Jinnai
“Polymer Nanotechnology Applied to Polymeric Nano-soft-materials”
J. Phys.: Conf. Ser., Vol. 184, 12030-12030 (2009)
【概要】著者らは高分子ナノアロイ、ナノコンポジットの新しい評価技術を開発してきた。このナノテクノロジーは、ナノ三次元計測、ナノ物性評価系、ナノスペクトロスコピーの3つに分類できる。ナノ三次元計測においては、高分子試料用エネルギーフィルター付三次元透過電子顕微鏡を開発した。この手法を用いれば、既存のTEMでは得られなかった重要な3次元情報、元素情報を手に入れる事ができる。ナノ物性評価系は原子間力顕微鏡の力-距離曲線測定を開発し、確立した系である。ヤング率、付着エネルギーのような力学特性の分布が、高い水平解像度で定量的に得られる。これらの手法により、これまでの高分子ナノテクノロジーでは得られなかった情報が得られるようになる。いくつかの実験結果を示す。
John Dupont, Guojun Liu, Ken-ichi Niihara, Ryuhei Kimoto, and Hiroshi Jinnai
“Self-Assembled ABC Triblock Copolymer Double and Triple Helices”
Angewandte Chemie International Edition, Vol. 48 (33), 6144-6147 (2009)
【概要】アキラルでリニアなABCトリブロック共重合体を、中心となるBブロックは少なく、Cブロックが豊富で、Aブロックは最低限量含まれる溶液中にて自己組織化させると、バイオミメティックな二重らせん構造(図参照)と、一部三重らせん構造が生じる。この結果は異なる3種の溶媒の組み合わせにおいても再現された。したがってこの 多重らせん構造は熱力学的生成物と言える。
Hiroshi Jinnai, Takeshi Kaneko, Kazuyuki Matsunaga, Clarissa Abetz, and Volker Abetz
“A Double Helical Structure Formed from an Amorphous, Achiral ABC Triblock Terpolymer”
Soft Matter, Vol. 5, 2042-2046 (2009)
【概要】ポリスチレン-ブロック-ポリブタジエン-ブロック-ポリ(メチルメタクリレート)トリブロックターポリマー(SBM)の三次元らせん構造を、透過電子線トモグラフィー法を用いて実験的に可視化した結果を示す。ポリスチレン(PS)のコアをポリブタジエン(PB)のらせん形ミクロドメインが取り巻いた、左巻き、右巻きの二重らせん構造が明らかになった。らせんのピッチをコントロールするには、溶液混合によってPSコア中に短いPS鎖を加える事が不可欠であることが分かった。さらにこのらせん構造は、薄膜中ではらせん状ファイバーがハニカム板状に、膜平面に対して垂直に配列した構造を、膜厚非依存的に形成する事が判った。