手老龍吾
“酸化物基板表面上の支持平面脂質二重膜内でのドメイン形成と分子拡散挙動のその場観察”
膜, Vol. 36, 16-23 (2011)
【概要】支持平面脂質二重膜のドメイン構造、反応活性、膜内分子拡散挙動の直接観察について解説した。糖脂質を含む多成分脂質二重膜中のドメイン構造への固体基板材料の影響と、ペプチド重合反応活性への影響について記述した。また、基板の透明度および屈折率に依存せずに蛍光一分子観察を行うための最近の取り組みについて解説した。
手老龍吾
“酸化物表面上での脂質二重膜の形状変化・相分離への表面力と光照射の影響”
機能材料, Vol. 30, 63-68 (2010)
【概要】酸化物基板表面上の支持平面脂質二重膜について、その形成過程と相分離構造への光照射および固体基板表面の影響と応用例について解説した。光照射による領域選択的な平面脂質膜の作製法、糖脂質を含む多成分脂質膜中の相分離構造への固体表面周期構造の影響、および光照射を用いたドメイン分布の制御についての最近の成果をまとめた。
水野大介
“細胞の力学知覚の物理メカニズム”
生物物理学会誌, accepted
【概要】細胞は、自らの周囲の媒質の力学的性質(硬さ・柔らかさ)を計測して(力学知覚)、自らの振る舞いを決定する(力学適応)ことが知られているが、そのメカニズムは良く分かっていなかった。最近筆者らは、マイクロレオロジーと呼ばれる新しい手法を利用して、細胞と周囲媒質との間の力学的な相互作用を定量解析することで、この問題に物理的な解決を与えた。本稿ではその詳細を解説するとともに、細胞の力学知覚により生起されるいくつかの細胞生理現象について、筆者らの考える力学知覚の物理メカニズムに沿った解釈・考察を加える。
水野大介
“細胞骨格の非平衡揺らぎと力学特性”
日本物理学会誌, accepted
【概要】生きている細胞(骨格)は典型的な非平衡システムである。我々はミオシン・アクチン・架橋剤からなる簡便なモデル細胞骨格を作製し、その非平衡動力学を計測した。マイクロレオロジーと呼ばれる新しい技術を使用することで揺動散逸定理の破れとして非平衡揺らぎを同定し、そこから細胞骨格中におけるモーターたんぱく質の動作特性を導いた。モーターたんぱく質が生起する応力が細胞骨格の力学特性を調節することも発見した。そのメカニズムを説明する物理モデルについても議論する。
早川尚男
“学会誌の記事を広く楽しく読むために:非平衡物理の分野で”
日本物理学会誌, Vol. 66, 65-67 (2011)
【概要】学会誌の記事を広く楽しく読むために、非平衡物理の分野から特にゆらぎの定理、ガラス転移、ジャミング転移の文献紹介と短い解説を行った。
早川尚男
“非平衡系における対称性の破れ”
数理科学, Vol. 50(12), 53-58 (2010)
【概要】非平衡系における対称性の破れを分岐理論とJarzynski等式やゆらぎの定理に現れる時間斑点対称性の破れを中心に解説した。
松山明彦
“高分子と液晶系の相分離”
高分子, Vol. 59, 486-487 (2010)
【概要】高分子と液晶分子の混合系の相分離に関して,最近の筆者の理論的研究について解説した。柔らかい高分子と液晶分子の混合系と,硬い高分子と液晶分子の混合系のトッピックスについて短く解説されている。
古川一暁,並河英紀,村越敬,森垣憲一,手老龍吾
“支持膜 ~固体表面に支持した脂質二重膜~”
表面科学, Vol. 30, 207-218 (2009)
【概要】固体基板上の平面支持脂質二重膜について、その作成方法、構造観察・物性計測手法を解説。固体表面物性が脂質膜の構造と形成過程に及ぼす影響や、光を利用した相分離構造の制御、合成脂質を用いた重合膜、ナノ構造体を利用した脂質分子の拡散制御などについて。
早川尚男
“統計熱力学の定式化–エントロピーを巡って ”
数理科学, Vol. 47(9), 33-38 (2009)
【概要】シュレディンガーと統計熱力学の関わりを¸ 彼の統計熱力学への貢献のみならず¸ 統計熱力学という学問分野が彼の他の研究にどのような影響を与えたかを簡単にまとめた。
中西英行,宮田貴章
“高分子混合系における光誘起相分離と自己秩序化現象”
高分子, Vol. 58, 465-468 (2009)
【概要】光架橋反応を光重合と組み合わせることにより高分子混合系における相分離と化学反応との競合を引き起こして、様々な秩序構造を発現させ、高分子系における相反相互作用の競合効果 (Competing Interaction) について述べた。例として光強度の傾斜を利用した傾斜共連続構造の形成過程やコンピュータ支援光照射法による任意の対称性や特性長分布を有する多相系高分子の設計法を紹介した。