四方俊幸
“超分子ポリマー系の構造とダイナミックス”
高分子, Vol. 59, 705-708 (2010)
岡本茂
“高分子ブロック共重合体を用いたフォトニック結晶の創製”
日本画像学会誌, Vol. 49, 513(31) -520(38) (2010)
【概要】数百万g/molの超高分子量を有するブロック共重合体の準希薄溶液中での分子の運動性とミクロ相分離構造の秩序性について概説した。また、溶媒の選択性の増大とともに偏斥力が増大し、ライオトロピック相転移近傍において巨大なグレインが形成される事を紹介し、非線形光学材料への応用性について概説した。
岡本茂
“高分子ブロック共重合体を用いたフォトニック結晶の創成”
高分子, Vol. 59, 334-335 (2010)
【概要】超高分子量ブロック共重合体のミクロドメイン構造が構造色を示すことを紹介し、フォトニック結晶への応用について概説した。また、準希薄溶液中で形成されるミクロドメイン構造はミクロ相転移近傍において巨大なグレインへと成長し、非常に秩序性の高い階層構造を形成する事を紹介し、さらにこの構造のレーザー共振器への応用について説明した。
岡本茂
“フォトニック結晶としてのブロックポリマー”
EKISHO, Vol. 14, 91(13)-97(19) (2010)
【概要】ブロック共重合体の配向制御に関する背景と、超高分子量ブロックコポリマーでの配向制御の難しさを紹介し、準希薄溶液を用いるメリットについて説明した。また、混合溶媒の選択性によるミクロ相分離発現のメカニズムについて、自己無撞着場理論に基づくシミュレーションを用いて概説した。さらにこの構造を用いたフォトニック結晶の創製について紹介した。
高橋良彰
“ずり流動下の中性子小角散乱を用いたソフトマターの構造と物性の研究”
放射線化学, Vol. 91, 45-50 (2011)
【概要】ずり流動下の中性子小角散乱測定を用いたソフトマターの構造と物性に関する研究例として、ポリオレフィン混合系、2元ブロック共重合体、界面活性剤のひも状ミセルの研究結果を紹介した。
高橋良彰
“レオロジー測定を活用した高分子物性研究 ‐入門から工業的利用まで‐”
高分子, Vol. 59, 724-728 (2010)
【概要】高分子を中心としたソフトマターの物性研究におけるレオロジーの活用について、工業的な応用例まで含めて解説した。
高橋良彰
“イオン液体中のセルロースの溶液物性”
ケミカルエンジニアリング, Vol. 55, 55-59 (2010)
【概要】ブチルメチルイミダゾリウムクロリドを溶媒として用いたセルロースの希薄溶液の物性研究に関して、著者らの最新の研究成果について解説した。
佐藤尚弘,田中紘平,遊佐真一
“感熱応答性ブロック共重合体の水溶液中におけるミセル形成の分子機構”
機能材料, Vol. 7, 14-19 (2010)
【概要】ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)ブロック鎖とポリ(N-ビニルピロリドン)ブロック鎖とからなる感熱応答性ジブロック共重合体の熱水中での複雑なミセル化挙動について調べた実験結果を紹介し、それに基づき温度変化に伴うミセル化の分子機構について考察した。(遊佐真一:測定試料の提供、今井正幸:低分子ミセル系に関する情報提供)
佐藤尚弘,冨永幸雄,水瀬麻里,橋爪章仁,森島洋太郎
“両親媒性ランダム共重合体の水溶液中でのミセル構造”
表面, Vol. 48, 11-20 (2010)
【概要】 塗料や化粧品等への乳化安定剤やレオロジーコントロール剤として利用されている両親媒性ランダム共重合体に対する最小ループサイズの花形ミセルモデルを紹介し、これまでに最もよく研究されているドデシル基を有する両親媒性ランダム(および交互)共重合体が0.05 M NaCl水溶液中で形成するミセルに対する分子動力学シミュレーションおよび実際の実験結果と比較し、この花形ミセルモデルの有効性について検証した。
手老龍吾
“酸化物基板表面上の支持平面脂質二重膜内でのドメイン形成と分子拡散挙動のその場観察”
膜, Vol. 36, 16-23 (2011)
【概要】支持平面脂質二重膜のドメイン構造、反応活性、膜内分子拡散挙動の直接観察について解説した。糖脂質を含む多成分脂質二重膜中のドメイン構造への固体基板材料の影響と、ペプチド重合反応活性への影響について記述した。また、基板の透明度および屈折率に依存せずに蛍光一分子観察を行うための最近の取り組みについて解説した。
手老龍吾
“酸化物表面上での脂質二重膜の形状変化・相分離への表面力と光照射の影響”
機能材料, Vol. 30, 63-68 (2010)
【概要】酸化物基板表面上の支持平面脂質二重膜について、その形成過程と相分離構造への光照射および固体基板表面の影響と応用例について解説した。光照射による領域選択的な平面脂質膜の作製法、糖脂質を含む多成分脂質膜中の相分離構造への固体表面周期構造の影響、および光照射を用いたドメイン分布の制御についての最近の成果をまとめた。
青木裕之
“単一分子計測による高分子鎖の構造評価”
高分子, Vol. 60, 66-69 (2011)
【概要】高分解能の光学顕微鏡を用いた単一高分子鎖のコンホメーション解析について解説している。近接場光学顕微鏡および超解像顕微鏡によるナノメートルスケールの光学検出の原理について紹介するとともに、高分子鎖の末端間距離、コンホメーションの直接観察への応用について述べている。
Jun-ichi Fukuda
“Report on the 9th Soft Matter Forum Conference of Japanese Liquid Crystal Society”
Liquid Crystals Today, Vol. 20, 68-70 (2011)
【概要】日本液晶学会主催のソフトマターフォーラム第9回講演会「液晶の構造と輸送現象」の参加,聴講報告(英文による)
福田順一
“ソフトマターフォーラム第9回講演会参加報告”
液晶, Vol. 15, 141-143 (2011)
【概要】日本液晶学会主催のソフトマターフォーラム第9回講演会「液晶の構造と輸送現象」の参加,聴講報告
福田順一
“液晶を分散媒としたコロイド系─液晶の変形が媒介する粒子間相互作用─”
物性研究, Vol. 94, 170-201 (2010)
【概要】液晶を分散媒としたコロイド系の諸性質,特に液晶の弾性変形によって媒介される粒子間相互作用に関する理論的,数値的研究についてのレビューである.(米谷慎:過去の研究における議論、木村康之:実験に関する議論)
山崎昌一
“膜で計る: 生体膜の機能やダイナミクスを解明する単一GUV法”
実験医学, Vol. 29. No.7(増刊), 48-54 (2011)
【概要】外来物質と生体膜の相互作用の新しい研究方法として、巨大リポソーム(GUV)を用いた単一GUV法の原理を解説し、その応用例を示した。単一GUV法を用いて、膜融合・膜分裂や抗菌ペプチドのポア形成の素過程を分離して観測し、それらの速度定数(ポア形成の速度定数や蛍光プローブの膜透過速度定数)を決定することに初めて成功した。
山崎昌一
“単一GUV法による抗菌ペプチドのポア形成の研究”
生物物理, Vol. 50, 292-293 (2010)
【概要】抗菌ペプチド・マガイニン2が1個のGUVと相互作用することにより誘起されるGUV内部からの蛍光プローブの膜透過(漏れ)を単一GUV法により研究することにより、マガイニン2が誘起する脂質膜のポア(小孔)形成の速度定数やポアを介しての蛍光プローブの膜透過の速度定数などを求めることができる。それらに基づいてマガイニン2のポア形成の素過程の特性やそのメカニズムを解明するための新しい情報が得られた。
水野大介
“細胞の力学知覚の物理メカニズム”
生物物理学会誌, accepted
【概要】細胞は、自らの周囲の媒質の力学的性質(硬さ・柔らかさ)を計測して(力学知覚)、自らの振る舞いを決定する(力学適応)ことが知られているが、そのメカニズムは良く分かっていなかった。最近筆者らは、マイクロレオロジーと呼ばれる新しい手法を利用して、細胞と周囲媒質との間の力学的な相互作用を定量解析することで、この問題に物理的な解決を与えた。本稿ではその詳細を解説するとともに、細胞の力学知覚により生起されるいくつかの細胞生理現象について、筆者らの考える力学知覚の物理メカニズムに沿った解釈・考察を加える。
水野大介
“細胞骨格の非平衡揺らぎと力学特性”
日本物理学会誌, accepted
【概要】生きている細胞(骨格)は典型的な非平衡システムである。我々はミオシン・アクチン・架橋剤からなる簡便なモデル細胞骨格を作製し、その非平衡動力学を計測した。マイクロレオロジーと呼ばれる新しい技術を使用することで揺動散逸定理の破れとして非平衡揺らぎを同定し、そこから細胞骨格中におけるモーターたんぱく質の動作特性を導いた。モーターたんぱく質が生起する応力が細胞骨格の力学特性を調節することも発見した。そのメカニズムを説明する物理モデルについても議論する。
Kenji Urayama
“Electro-Opto-Mechanical Effects of Swollen Nematic Elastomers”
Adv. Polym. Sci., in press (2011)
【概要】液晶ゲルにみられる電気力学効果と電気光学効果の平衡特性およびダイナミクスに関する著者らの研究結果をまとめた。
浦山健治
“液晶エラストマーの非線形弾性挙動”
機能材料, Vol. 30, 32-37 (2010)
【概要】液晶エラストマーの応力-ひずみ挙動には、伸長が誘起する液晶再配向による著しい非線形性が観察される。伸長によってマクロな液晶配向を90度回転させる場合、およびランダムに配向した液晶ドメインをマクロ配向させる場合に観察される非線形弾性挙動について解説した。
Kenji Urayama
“Stimulus-Responsive Nematic Gels”
Macromol. Symp., Vol. 291, 89-94 (2010)
【概要】低分子液晶溶媒で膨潤した液晶エラストマー(液晶ゲル)の多様な刺激応答挙動について解説した。液晶ゲルの温度変化による体積相転移挙動、電気光学効果と結合した電気力学効果、伸長による液晶再配向挙動について述べた。
早川尚男
“学会誌の記事を広く楽しく読むために:非平衡物理の分野で”
日本物理学会誌, Vol. 66, 65-67 (2011)
【概要】学会誌の記事を広く楽しく読むために、非平衡物理の分野から特にゆらぎの定理、ガラス転移、ジャミング転移の文献紹介と短い解説を行った。
早川尚男
“非平衡系における対称性の破れ”
数理科学, Vol. 50(12), 53-58 (2010)
【概要】非平衡系における対称性の破れを分岐理論とJarzynski等式やゆらぎの定理に現れる時間斑点対称性の破れを中心に解説した。
菅原正, 鈴木健太郎
“分子科学の挑戦―可塑的応答・自律運動・自己生産する超分子システム”
Mol. Sci., Vol. 4, A0033-1 – A0033-14 (2010)
【概要】両親媒性分子は水中でミセル、ベシクルといった自己集合体を形成する。この自己集合体は、弾性体として外場下で形態変化する、化学反応を伴いながら自律運動する、膜前駆体を添加すると自己生産することが見出された。さらには、ベシクル内部での化学反応と連動することで原始細胞モデルをも構成しうる。これらの自己集合体は、非平衡開放系として分子科学の新たな地平線を拓くこととなろう。
菅原正
“化学で挑む生命の起源”
科学, Vol. 89, 712-720 (2010)
【概要】化学的手法により「人工細胞」を創ることで、 生命の起源や細胞の特徴的ダイナミクスの本質に迫るという構成的アプローチについて概観する。筆者の構築した人工細胞では、膜分子からなる袋状の分子集合体(ベシクル)の中で行われる情報分子の自己複製に同期して、ベシクル膜内で膜前駆体が膜分子へと化学的に変換され、ベシクルの自己生産が起こる。結果、人工細胞が増殖す
墨智成
“塩による疎水性相互作用とDNAの自己凝縮転移”
アンサンブル, Vol. 12, 22-26 (2010)
【概要】DNAの様な荷電高分子鎖の多価塩による自己凝縮転移は、通常、荷電高分子鎖とイオンのみを露に考慮したクーロン強結合系の多体問題として研究されて来た。しかしながら、この様な水を連続誘電体として扱うモデル化では、温度上昇に伴う自己凝縮転移やそれと同時に観測される沈殿(塩析)現象などを説明することは出来ない。本稿では、水を介したいわゆる疎水性相互作用が、荷電高分子系においても重要な働きをする事を解説した。
濱田勉
“脂質ベシクルの形状安定性と変形ダイナミクス”
機能材料, Vol. 30, 50-55 (2010)
【概要】ソフトマター界面である細胞膜(脂質膜)は、環境に応じた様々な形状や、融合・分裂等の膜変形、膜面上での相分離形成などの多様な挙動を示す。脂質膜の物性および組織化メカニズムの理解は、生命機能の解明や生体模倣材料の開発に役立つことが期待される。本稿では、光学顕微鏡観測により明らかとなった、脂質膜小胞(脂質ベシクル)の形状安定性と変形ダイナミクスについて紹介した。
松山明彦
“高分子と液晶系の相分離”
高分子, Vol. 59, 486-487 (2010)
【概要】高分子と液晶分子の混合系の相分離に関して,最近の筆者の理論的研究について解説した。柔らかい高分子と液晶分子の混合系と,硬い高分子と液晶分子の混合系のトッピックスについて短く解説されている。
Mun’delanji Vestergaard, Tsutomu Hamada, Masamune Morita, and Masahiro Takagi
“Cholesterol, Lipids, Amyloid Beta, and Alzheimer’s”
Current Alzheimer Research, Vol. 7, 262-270 (2010)
【概要】アルツハイマー病の分子メカニズムとして、コレステロールおよび脂質とアミロイドβペプチドの相互作用について解説した。
山田彩子,濱田勉,吉川研一
“細胞サイズリポソームの新しい作成法とその応用”
生物物理, Vol. 49, 256-259 (2009)
【概要】W/Oエマルションを用いた新規のリポソーム作成法について解説した。
岡本茂
“ブロック共重合体からのフォトニック結晶材料”
日本結晶成長学会誌, Vol. 36, 44-48 (2009)
【概要】これまでに高分子ブロック共重合体の準希薄溶液中で貧溶媒の添加によりミクロ相分離が誘起されることが分かってきた。しかも高規則構造が自発的に形成されることが特徴であった。その構造形成のメカニズムや制御方法を説明し、波長などの可変性を有する材料の形成例を紹介するとともに、高分子ブロック共重合体を用いたフォトニック結晶の創成について最近の研究例を解説した
浦山健治
“液晶エラストマー・液晶ゲルの外場応答特性”
物性研究, Vol. 93, 579-590 (2010)
【概要】液晶エラストマー/ゲルの温度、電場、ひずみ場に対するユニークな刺激応答挙動について、著者の研究を中心に解説した。具体的には、温度を変数とした体積相転移挙動、電気光学効果と結合したマクロ変形挙動、および微小応力で生じるポリドメイン-モノドメイン転移挙動について述べた。
高橋良彰
“2元および3元ブロック共重合体の構造と粘弾性に関する研究”
日本レオロジー学会誌, Vol. 37, 211-217 (2009)
【概要】レオロジー学会賞受賞講演論文である。2元ブロック共重合体ラメラの流動誘起配向とレオロジーの関係、3元ブロック共重合体球状構造中の中央ブロック鎖の形態と弾性率の関係に関する一連の研究成果を述べた。
陣内浩司
“『高分解能3次元電子顕微鏡の開発』における産学連携”
繊維と工業, Vol. 65, 377-380 (2009)
【概要】著者が高分解能3次元電子顕微鏡を開発した過程における産学連携のあり方について解説を行った。
Hae-Woong Park, Jueun Jung, Taihyun Chang, Kaho Matsunaga, and Hiroshi Jinnai
“New Epitaxial Phase Transition between DG and HEX in PS-b-PI”
高分子, Vol. 58, 724-724 (2009)
【概要】polystyrene-b-polyisoprene diblock copolymerのシリコン基盤上薄膜における、ダブルジャイロイド(DG)から六方充填シリンダー(HEX)への秩序-秩序相転移について小角散乱と電子線トモグラフィー法を用いて三次元構造を調査した結果を報告した。
陣内浩司
“電子線トモグラフィー法による高分子材料のナノスケール3次元構造解析”
応用物理, Vol. 78(7), 663-667 (2009)
【概要】近年,高分子の不均一構造を三次元的に実空間直接観察することにより材料の評価・解析を行う新しい実験手法(三次元イメージング法)が注目を浴びている.高分子混合系の相分離構造の三次元観察に用いられた共焦点レーザースキャン顕微鏡(Laser Scanning Confocal Microscopy : LSCM)に加え,高分子ナノ構造を三次元観察できる透過型電子線トモグラフィー法(Transmission Electron Microtomography : TEMT),不透明な高分子材料のμmスケールでの三次元観察を可能とするX線CT(X-ray Computerized Tomography : X-ray CT)の登場により,nmからμmにわたる広い空間スケールでの三次元イメージングが現実のものとなりつつある.本報では,これらのうちでも最近特に発展が著しいTEMTの装置・測定法の新展開と,高分子ブロック共重合体の相分離構造の解析例を紹介する.
陣内浩司
“ブロック共重合体により形成される共連続構造の3次元精密直接観察”
日本結晶成長学会誌, Vol. 36(1), 24-29 (2009)
【概要】高分子ブロック共重合体などの複合高分子は,非常に規則的なnmスケールの3次元構造(ミクロ相分離構造)を”自己的に”形成することが知られている.近年,高分子合成技術の飛躍的な発展により高度に制御された複雑な一次構造を持つブロック共重合体の合成が可能となってきており,これに伴って,これまでにない興味深い3次元構造を持つミクロ相分離構造も報告され始めた.この中には,複数のネットワーク状のミクロドメインが3次元空間で入り組んだ配置を取る共連続構造や,2重らせんシリンダー構造などがある.このようなミクロ相分離構造の形成原理を理解するためには,これらの構造の持つ3次元形態の精確なキャラクタリゼーションが非常に重要となる.本稿では,ブロック共重合体の共連続構造の構造に関する研究例を,特に結晶学的解析法の観点から紹介する.
青木裕之
“近接場光学顕微鏡による高分子のナノ構造解析”
高分子論文集, Vol. 66, 312-320 (2009)
【概要】蛍光顕微鏡法はバルク内の単一分子を観察するための最も有力な手法の一つである。近接場光学顕微鏡(Scanning Near-field Optical Microscopy: SNOM)は光をながら回折限界を超える空間分解能でのイメージングを可能にする新しい光学顕微鏡技術であり、これにより高分子鎖一本の形態を直接観察することができるようになった。本論文では、SNOMを用いた単一高分子鎖の実空間観察に基づいた相分離構造内および延伸状態における高分子鎖のコンホメーションの評価について紹介している。
古川一暁,並河英紀,村越敬,森垣憲一,手老龍吾
“支持膜 ~固体表面に支持した脂質二重膜~”
表面科学, Vol. 30, 207-218 (2009)
【概要】固体基板上の平面支持脂質二重膜について、その作成方法、構造観察・物性計測手法を解説。固体表面物性が脂質膜の構造と形成過程に及ぼす影響や、光を利用した相分離構造の制御、合成脂質を用いた重合膜、ナノ構造体を利用した脂質分子の拡散制御などについて。
Masahito Yamazaki
“Transformation between Liposomes and Cubic Phases of Biological Lipid Membranes Induced by Modulation of Electrostatic Interactions”
Adv. Planar Lipid Bilayers Liposomes, Vol. 9, 163-209 (2009)
【概要】生体膜のキュービック相の構造安定性に関する総説である。従来は、温度や水の量、圧力が、キュービック相間の相転移やキュービック相と液晶相の間の相転移を誘起する因子だと考えられていたが、我々の研究により膜の表面電荷密度による静電相互作用の制御によりこれらの相転移が起こることがわかってきた。この静電相互作用による生体膜のキュービック相の種々の相転移やそのメカニズムに対する仮説を論じた。
早川尚男
“統計熱力学の定式化–エントロピーを巡って ”
数理科学, Vol. 47(9), 33-38 (2009)
【概要】シュレディンガーと統計熱力学の関わりを¸ 彼の統計熱力学への貢献のみならず¸ 統計熱力学という学問分野が彼の他の研究にどのような影響を与えたかを簡単にまとめた。
中西英行,宮田貴章
“高分子混合系における光誘起相分離と自己秩序化現象”
高分子, Vol. 58, 465-468 (2009)
【概要】光架橋反応を光重合と組み合わせることにより高分子混合系における相分離と化学反応との競合を引き起こして、様々な秩序構造を発現させ、高分子系における相反相互作用の競合効果 (Competing Interaction) について述べた。例として光強度の傾斜を利用した傾斜共連続構造の形成過程やコンピュータ支援光照射法による任意の対称性や特性長分布を有する多相系高分子の設計法を紹介した。
Kentaro Suzuki, Taro Toyota, Katsuto Takakura, and Tadashi Sugawara
“Sparkling Morphological Changes and Spontaneous Movements of Self-assemblies in Water Induced by Chemical Reactions”
Chem. Lett., Vol. 38, 1010-1015 (2009)
【概要】水中で形成されるベシクルや油滴の表面・内部環境を利用して、膜分子が関与するイミン結合の加水分解あるいは脱水縮合反応を進行させることで、分子集合体の形態変化、自己生産や自発的運動といった、ダイナミクスが生み出される仕組みについて解説を加えた。反応に伴う化学エネルギーを利用し、フィードバック機構をもつ自発的ダイナミクスが発現する分子システムの解明は、生体システムのダイナミクスの理解に繋がる。
Takahiro Sato and Yasuhiro Matsuda
“Macromolecular Assemblies in Solution: Characterization by Light Scattering”
Polym. J., Vol. 41, 241-251 (2009)
【概要】光散乱法は、種々の高分子集合体の構造解析に有用な情報を提供している。ここでは、非極性溶媒中での高分子リビングアニオン、水溶液中での両親媒性テレケリック高分子・ブロック共重合体、および熱変性2重らせん多糖が再性中に形成される会合体についての研究例を紹介している。光散乱データから正確な構造情報を得るには、適切な解析理論を利用する必要があるが、その理論についても紹介している。(渡辺宏:高分子リビングアニオンの会合に関する共同研究)