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A04:理論・モデリング

[ 計画研究 ]

空間不均一を伴う高分子系のミクロからマクロにわたる動力学理論
[ 研究代表者 ] [ 連携研究者 ] [ 連携研究者 ]
川勝年洋
東北大学
大学院理学研究科
教授
出口哲生
お茶の水女子大学大学院
人間文化創成科学研究科
教授
佐藤勝彦
東北大学
大学院理学研究科
助教

研究内容

高分子系のマクロな流動特性を決める要因は、ミクロスケールの鎖の動力学(鎖の伸縮や絡み合い、鎖のネットワークなど)だけではなく、相分離の界面や分散粒子の表面などのメソスケールにおける不均一構造の運動の重要性も論を待たない。このように、高分子系においては多数の階層にまたがる現象が複雑に絡まり合っており、その現象の理解のためには、多階層のモデル化とそれらの融合が必要である。本研究計画においては、高分子のメソスケールの不均一構造を鎖の構造のレベルから導き出すことのできる理論体系として密度汎関数理論(自己無撞着場理論およびギンズブルグ・ランダウ理論)を中心に据え、鎖のミクロな動力学の分子モデルや液晶性高分子のモデルなどと組み合わせることで、高分子系のマクロな流動特性をミクロレベルから予想するスキームを完成させる。このスキームの具体的な応用として、高分子の粘弾性特性を説明するだけでなく、本特定領域の他の実験および理論研究者の研究対象である高分子の構造相転移や反応性高分子、液晶高分子のゲル化など多種多様な現象を説明する枠組みを与えることができると期待される。

【成果報告書】 最終  平成21年度  平成20年度  平成19年度  平成18年度

高分子溶液の微小流動におけるレオロジー
[ 研究代表者 ] [ 研究分担者 ] [ 連携研究者 ]
土井正男
東京大学
大学院工学系研究科
教授
奥薗 透
名古屋市立大学
大学院薬学研究科
准教授
山口哲生
東京大学
大学院工学系研究科
助教

研究内容

高分子溶液の基盤上での流動、粘着、固化・乾燥の過程は、塗装・印刷技術、電子回路作成など、多岐に渡る分野で重要な現象である。しかし、これらの現象は気液と固液の界面を有し、溶媒蒸発、濡れ、ネットワーク形成による固化・変形、負圧によるボイドの生成など多種の要因が複雑にからんでおり、学問的な研究がほとんど行われていないのが現状である。本研究では、高分子溶液の微少領域の流動に対して、現象を支配するダイナミクス(接触線の運動、ゲル相の生成、ボイドの生成など)について、分子レベル、界面レベル、連続体レベルの理論モデルを構築する。さらにこれに基づいて、高分子の塗布、乾燥、粘着などの応用に役に立つ多階層的なシミュレータを構築する。これと同時に、本特定領域の研究者と協力しつつ実験を行い、理論とシミュレーションの検証をおこなう。

【成果報告書】 最終  平成21年度  平成20年度  平成19年度  平成18年度

電荷・極性の関与するソフトマターの新しい相、及びせん断の関与する非平衡現象の研究
[ 研究代表者 ] [ 研究分担者 ] [ 研究分担者 ] [ 研究分担者 ]
小貫 明
京都大学
大学院理学研究科
教授
八尾 誠
京都大学
大学院理学研究科
教授
瀬戸秀紀
高エネルギー加速器研究機構
物質構造科学研究所
教授
山本量一
京都大学
大学院工学研究科
教授
[ 研究分担者 ] [ 連携研究者 ]
金谷利治
京都大学
化学研究所
教授
荒木武昭
京都大学
大学院理学研究科
准教授

研究内容

ソフトマターにおける相転移・構造形成においては電荷の効果とともに水分子などの強い分極効果が大きな役割を果たしている。臨界点近くでは分極による水和クラスターが巨大化し臨界現象を激変させる。小貫は、誘電率の異なる二相の間の界面における静電ポテンシャルの飛びを求めた。この効果は、イオン種ごとに水和の強さが異なるときに発生するものであり、荷電ソフトマター系の物理に付け加えるべき新たな要素であると言える。さらにイオンを液晶系に僅かでも混入させると液晶分子の配向に長距離の乱れが発生しイオン間に強い相互作用が働く。このような場合イオンを増やしていくと何らかのメソ構造が生ずると予言される。ソフトマターの特徴として、ずりなどの外部変形による内部構造の著しい変化があげられる。特に液晶系におけるずり変形はトポロジカルな欠陥を大量に発生させるがその理解は余り進んでいない。我々のグループでは、理論・実験両面からこのような未開の現象を研究する。

【成果報告書】 最終  平成21年度  平成20年度  平成19年度  平成18年度

ソフトマターにおける連鎖構造・ネットワーク構造のダイナミクスとレオロジー
[ 研究代表者 ] [ 研究分担者 ] [ 研究分担者 ]
滝本淳一
山形大学
大学院理工学研究科
教授
香田智則
山形大学
大学院理工学研究科
准教授
谷口貴志
京都大学
大学院工学研究科
准教授

研究内容

多くのソフトマターにおいては、内部にメソスケールの構造が形成し、その運動・変形がレオロジーを支配する。特に、高分子鎖の絡み合い相互作用、ゲル化によるネッワーク形成、界面活性剤系におけるひも状ミセルの形成、会合性液晶系における分子コラムの形成、ナノ粒子分散系におけるネットワークの形成など、ひも状あるいはネットワーク状の構造が存在する場合が多い。本研究では、このような永続的あるいは一時的なひも状・ネットワーク状構造が、流動・変形下という非平衡条件下でどのように運動し、それによりどのようなレオロジーが現れるかを、メソスケールでの理論および計算機シミュレーションにより明らかにすることを目的とする。それによりレオロジーの設計・制御を可能にしていくとともに、よりマクロなレベル(たとえば連続体レベル)のシミュレーションに必要なレオロジー情報を提供していく。

【成果報告書】 最終  平成21年度  平成20年度  平成19年度  平成18年度

[ 公募研究(2009-2010) ]

コロイド系のガラス転移と非線形レオロジー
[ 研究代表者 ]
宮崎州正
筑波大学
数理物質科学研究科
准教授

研究内容

本研究は、ソフトマター研究を通して、ガラス転移の本質を明らかにすることを目標とする。特に、球状コロイド系を対象として、この系で観測されるガラス的な遅いダイナミクスや非線形レオロジー特性を解明する。具体的には、(1)ガラス系に特徴的な非アレニウス的な緩和(フラジリティ)の微視的起源の解明、(2)温度ゼロにおけるガラス転移、いわゆるジャミング転移における力学特性の解明と有限温度系との相関の理解を目指す。

【成果報告書】 最終  平成21年度

ソフトマターを対象とした液体論的マルチスケール解析手法の開発とその応用
[ 研究代表者 ]
墨 智成
豊橋技術科学大学
大学院工学研究科
助教

研究内容

本研究では、ソフトマターを対象とした液体論的手法の開発と、ソフトマターおよび生体系への適用を行う.これを実現するために、高分子希薄系から濃厚系、およびブロック共重合系に対する液体論的手法における理論的および技術的問題を解決し、分子内および分子間構造とメゾスケール構造との階層間を繋ぐマルチスケール解析手法を構築する。

【成果報告書】 最終  平成21年度

ソフトな界面における一次および連続濡れ転移の発現機構の解明
[ 研究代表者 ]
甲賀研一郎
岡山大学
自然科学研究科
教授

研究内容

3流体相が共存する系において2相界面が第3相によって濡れた状態と濡れていない状態間の転移(ソフトな界面における濡れ転移)について理論的研究を行う。系の構成成分により濡れ転移は一次転移または連続転移となることが知られているが、その発現機構は解明されていない。本研究では平均場密度汎関数モデルを用いて、一次及び連続濡れ転移の特長を精密に調べ、濡れ転移の種類を決定する因子を明らかにすることを目的とする。さらに一次濡れ転移から連続濡れ転移へのクロスオーバーを示すモデルを構築し、その性質を調べる。

【成果報告書】 最終  平成21年度