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A02:構造転移のダイナミクス

[ 計画研究 ]

ゲスト成分が誘起するソフトマターメソ構造の相転移ダイナミクス
[ 研究代表者 ] [ 研究分担者 ] [ 研究分担者 ]
今井正幸
お茶の水女子大学大学院
人間文化創成科学研究科
教授
田中 肇
東京大学
生産技術研究所
教授
奥村 剛
お茶の水女子大学大学院
人間文化創成科学研究科
教授

研究内容

ソフトマターが形成する秩序メソ構造に少量のゲスト成分を加えると、その秩序メソ構造がモルフォロジー転移を示す事を最近我々は見出した。例えば、分子膜が形成する積層膜構造にコロイド粒子を加えると分子膜がミセル構造に転移したり、球状マイクロエマルションの内に高分子鎖を閉じ込めると、マイクロエマルションが球から棒へと形態転移することが確かめられている。これらの現象はホストとなるソフトマターの秩序メソ構造がゲスト成分の添加によるエントロピックな相互作用の結果不安定化され、ホスト+ゲスト系全体として安定な秩序メソ構造が再構築される為である。同様な現象は物質表面と接触した界面近傍でも観察される事が期待される。このようなゲスト成分の添加や物質界面の存在によってもたらされる新しいタイプの秩序相転移ダイナミクスを実験、シミュレーション、理論の観点から検討し、ソフトマター複合系における秩序形成の基本的原理を確立する。

【成果報告書】 最終  平成21年度  平成20年度  平成19年度  平成18年度

非相溶高分子ブレンドのトポロジー転移と電気粘性効果
[ 研究代表者 ] [ 研究分担者 ] [ 研究分担者 ]
折原 宏
北海道大学
大学院工学研究科
教授
氏家誠司
大分大学
工学部応用化学科
教授
羅 亮皓
北海道大学
大学院工学研究科
助教

研究内容

互いに相溶しない二種類の流体を混合すると単一の流体には無い新たなレオロジー的性質が現れることが古くから知られており、その制御は工業的に重要である。我々はある種の非相溶高分子ブレンドにおいては流動に加えて電場を印加するとこれらの相乗効果により界面構造の単なる変形に止まらず、そのトポロジーまでもが変化し、平均粘度が劇的に増大する現象(電気粘性効果)を見出している。例えば、せん断流下でドロプレットが分散した構造は電場を印加するとネットワーク構造へ変化する。この結果は、非相溶高分子ブレンドにおいてトポロジー変化を引き起こす外場として電場が極めて効果的で、レオロジー特性を制御するのに有用であることを示している。本研究では、流動および電場下において非相溶高分子ブレンドの構造観察とレオロジー測定が同時にできるシステムを構築し、非平衡系における構造とレオロジーの関係、さらに転移機構を明らかにする。

【成果報告書】 最終  平成21年度  平成20年度  平成19年度  平成18年度

リオトロピック秩序系における流動場誘起構造転移のダイナミクス
[ 研究代表者 ] [ 研究分担者 ] [ 研究分担者 ] [ 研究分担者 ]
加藤 直
首都大学東京
大学院理工学研究科
教授
好村滋行
首都大学東京
大学院理工学研究科
准教授
藤井政俊
島根大学
医学部
准教授
川端庸平
首都大学東京
大学院理工学研究科
助教

研究内容

界面活性剤、リン脂質、ブロック共重合体等の両親媒性分子が形成するリオトロピック相と呼ばれる秩序系は、流動場によってしばしば劇的な相転移や構造転移を起こし、最近特に多くの注目を集めているが、現時点ではまだ実験結果集積の段階であり、転移機構の解明にはほど遠い状態である。本研究では流動場下における中性子・X線・光の小角散乱、顕微鏡観察、応力測定により構造転移過程を追跡するとともに、計算機シミュレーション等による転移ダイナミクスの理論的解明を目指す。

【成果報告書】 最終  平成21年度  平成20年度  平成19年度  平成18年度

ソフトマターのメソスコピック界面ダイナミクスとその応用
[ 研究代表者 ] [ 研究分担者 ] [ 研究分担者 ] [ 連携研究者 ]
木村康之
九州大学
大学院理学研究院
教授
下村武史
東京農工大学・大学院
生物システム応用科学府
准教授
市川正敏
京都大学
大学院理学研究科
講師
岩下靖孝
九州大学
大学院理学研究院
助教

研究内容

生体系に代表されるソフトマター複合系はその内部にメソスコピックサイズの階層構造が存在し、その界面および界面により囲まれた微小空間において、特徴的な物質輸送をはじめとする種々の非平衡現象やそれに基づく高度な機能が発現している。このようなソフトマターの巨視的構造や物性制御のためには、メソスコピック構造やそのダイナミクスを理解することが不可欠である。このため、本研究では、(1) ソフトマターの局所的界面構造(トポロジー)と局所ダイナミクスを同時に、三次元的かつ広い時間スケールにわたりリアルタイム計測する新しい実験的方法論の開発、(2) 開発された手法を用いた二分子膜からなる階層的高次構造中での局所物性測定、ならびに (3) 得られた基礎的知見に基づき、メソスコピックスケールで構造制御された新しい液晶・高分子複合材料の創生を行なう。

【成果報告書】 最終  平成21年度  平成20年度  平成19年度  平成18年度

[ 公募研究(2009-2010) ]

流れによる赤血球、ベシクルの形状転移
[ 研究代表者 ]
野口博司
東京大学
物性研究所
准教授

研究内容

赤血球は変形することによって、自身の直径より狭い毛細血管中を通過することができる。病気などによって、赤血球の変形能力が下がると、流動抵抗が増加する。変形によって、多様な運動モードが誘起されることが知られているが、まだ、物理的によくわかっていないことが多い。本研究では理論、数値シミュレーションを用いて、流れの下での赤血球、脂質ベシクルの変形、ダイナミクスを研究する。

【成果報告書】 最終  平成21年度

膜分子生成が誘発する奇妙なベシクル形態変化
[ 研究代表者 ]
菅原 正
東京大学
大学院総合文化研究科
センター特任研究員

研究内容

ベシクルのバーシングは、膜ダイナミクスの解明のみならず、ベシクルの自己生産系設計の上で重要である。我々はこれまで、膜分子を生成する化学反応を利用して、時間と共にベシクルバーシングが起こる系を構築してきた。そこには、単なる膜分子添加とは異なる、様々な奇妙なダイナミクスが見られる。適切なモデル分子を設計合成することで、そこに見られる現象をミクロからマクロへの階層的に理解することを目標とする。

【成果報告書】 最終  平成21年度

ラメラ液晶相の流動誘起構造転移・構造破壊のダイナミクスと粘弾性
[ 研究代表者 ]
藤井修治
長岡技術科学大学
物質・材料系
助教

研究内容

界面活性剤ラメラ液晶相は流動場において多彩な非平衡構造転移(ラメラ‐オニオン転移、ラメラ配向転移)を示す。本研究ではラメラ‐オニオン転移、ラメラ配向転移、そしてこれら非平衡構造の構造緩和・破壊過程に着目し、ずり速度ジャンプ後の非平衡構造形成過程、ずり速度クエンチ後の構造破壊過程を小角散乱法、粘弾性測定により追跡し、非平衡構造転移現象における構造多様性の発現と構造決定の基本原理を追及する。

【成果報告書】 最終  平成21年度

非対称ベシクルの相分離形成と側方圧誘起構造転移
[ 研究代表者 ]
M田勉
北陸先端科学技術大学院大学
マテリアルサイエンス研究科
助教

研究内容

多成分脂質膜ベシクルの側方圧誘起構造転移を明らかにすることを目的とする。集光レーザーやマイクロマニュピレーション等の実験手法を用いて2分子膜の側方圧をコントロールし、側方圧力が相分離構造の安定性に与える影響を明らかにする。そして、2分子膜の非対称分布を備えた非対称ベシクル系の相分離実験へと発展させ、単分子膜結合系として2分子膜ベシクル相分離構造を理解する。

【成果報告書】 最終  平成21年度

外来物質との相互作用や外場による生体膜のトポロジー変化のダイナミクスとメカニズム
[ 研究代表者 ] [ 研究分担者 ]
山崎昌一
静岡大学
創造科学技術大学院
教授
岡 俊彦
静岡大学
理学部物理学科
助教

研究内容

外来物質との相互作用や外場により生じる非平衡状態での生体膜/脂質膜のトポロジー変化を実験的に研究し、そのキネティックスパスウエイやメカニズムを解明することを目的とする。(A) 抗菌ペプチドと脂質膜の相互作用やポア(小孔)形成の素過程を単一GUV法により研究し、それらのメカニズムを解明する。(B) 静電相互作用が誘起する生体膜の液晶(Lα)相とキュービック(Q)相の間の相転移や一枚膜のリポソームからQ相への構造転移に対する膜蛋白質や温度の効果を研究する。

【成果報告書】 最終  平成21年度

せん断流動誘起によるシリカサスペンションの凝集構造転移とそのレオロジー特性
[ 研究代表者 ]
川口正美
三重大学
大学院工学研究科
教授

研究内容

せん断流動誘起によるシリカサスペンションの示すレオカオスは、粒子の凝集構造がせん断流動によって誘起される構造に転移するために起こると考えられるので、1)粒子の形成する凝集構造を制御する因子であるシリカ粒子と分散媒の相互作用やシリカサスペンションの調製時のせん断力の影響を検討すること、2)レオロジーと散乱実験を同時に行うこと、3)レオカオスであることの証明を提案されている解析方法でもって検討することで遂行する。

【成果報告書】 最終  平成21年度

ブロック共重合体の構造転移における成長端の直接3次元観察と転移ダイナミクスの解明
[ 研究代表者 ]  
陣内浩司
京都工芸繊維大学
工芸科学研究科
准教授
 
 
 
東北大学
原子分子材料科
学高等研究機構
連携教授
 

研究内容

本研究では、温度・圧力などの環境変数の変化に伴うブロック共重合体の構造―構造転移(Order-Order Transition, OOT)を、透過型電子線トモグラフィー法により3次元的な実像として捕らえ、その3次元構造とOOTのダイナミクスを明らかにする。特に、ミクロドメインの組み替えがまさに起こりつつある部分(成長端)に注目する。

【成果報告書】 最終  平成21年度

液晶系の3次元秩序構造に関する連続体シミュレーションによる研究
[ 研究代表者 ]
福田順一
産業技術総合研究所
ナノテクノロジー研究部門
主任研究員

研究内容

液晶が示す3次元秩序構造の平衡、非平衡の性質を,連続体シミュレーションを用いて明らかにするのが本研究の目的である。具体的には、コレステリックブルー相のような配向秩序が形成する秩序構造、およびツイストグレインバウンダリー相やスメクチックブルー相のような、配向秩序と並進秩序が共存する秩序構造の熱力学的な性質、秩序形成、構造変化のダイナミクス、およびこれらの秩序相において熱揺らぎが果たしている影響などを明らかにしてゆく。

【成果報告書】 最終  平成21年度