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A01:分子凝集構造のダイナミクス

[ 計画研究 ]

相分離過程における構造成長ダイナミクスと絡み合いダイナミクスのカップリング 
[ 研究代表者 ] [ 研究分担者 ] [ 研究分担者 ] [ 連携研究者 ]
渡辺 宏
京都大学
化学研究所
教授
井上正志
大阪大学
大学院理学研究科
教授
西田幸次
京都大学
化学研究所
准教授
櫻井伸一
京都工芸繊維大学
大学院工芸科学研究科
准教授

研究内容

凝縮系中の高分子鎖の長時間ダイナミクスは、絡み合いに支配される。ブレンド系などの不均質系では、組成分布に伴って絡み合い点間分子量Meと局所摩擦が空間的に分布し、さらに、相構造が鎖の運動に対する排除領域として働くため、絡み合いダイナミクスの分子描像が十分には確立されていない。特に、相分離過程においては、鎖のダイナミクスが相の成長速度を支配し、同時に、鎖のダイナミクスを支配するMeの空間分布と排除領域の状態は相構造で決定される。このように構造成長のダイナミクスと強くカップルした絡み合いダイナミクスに対する分子描像は、不明のまま残されている。本研究の目的は、このような相構造形成過程における絡み合いダイナミクスと構造成長のダイナミクスについて実験的な知見を累積し、空間的尺度が異なるこれらのダイナミクスの間のカップリングに対する分子描像を確立することにある。

【成果報告書】 最終  平成21年度  平成20年度  平成19年度  平成18年度

超分子型複合高分子の階層的秩序構造とマクロ相分離ダイナミクス 
[ 研究代表者 ] [ 研究分担者 ] [ 研究分担者 ] [ 研究分担者 ]
松下裕秀
名古屋大学
大学院工学研究科
教授
高野敦志
名古屋大学
大学院工学研究科
准教授
川口大輔
名古屋大学
大学院工学研究科
講師
野呂篤史
名古屋大学
大学院工学研究科
助教

研究内容

ブロック共重合体、グラフト共重合体が平衡凝集状態で作るメソスコピックな自己組織化構造については、実験、理論の両面からよく研究され、階層的な構造が分子レベルで解明されつつある。しかし、そこで示されるナノ相分離構造とマクロスコピックな構造間での相分離挙動やそのダイナミクスを扱った研究は少なく、未解決な問題となっている。本研究では、非共有結合から構築された超分子型の複合分子が作るナノオーダーの秩序構造に流動場等の外場を与えることで、結合解裂やマクロ相分離現象を誘起し、階層的空間構造間の相転移ダイナミクスについて実験研究を展開する。

【成果報告書】 最終  平成21年度  平成20年度  平成19年度  平成18年度

ゾル・ゲル転換の分子機構 
[ 研究代表者 ] [ 研究分担者 ] [ 研究分担者 ]
田中文彦
京都大学
大学院工学研究科
教授
古賀 毅
京都大学
大学院工学研究科
准教授
金田 勇
酪農学園大学
酪農学部食品科学科
教授

研究内容

高分子溶液(融液)のゾル・ゲル転換を分子間相互作用の理論解析に基づいて制御することを目的とする。疎水化された水溶性高分子、水素結合性高分子、可逆反応性の高分子のゲル化現象を典型三タイプとして研究対象にする。(1) ゲル化点(特に温度)の制御:ゲル化温度Tgや濃度cgが官能基の数、配置、結合強度にどのように依存するかについて統計熱力学を基礎にした理論解析を行い、その予測を実験的に検証する方法を考案する。(2) 転換幅(鋭さ)の制御:ゲル化点で弾性率がどのような鋭さで立ち上がるかを、複素弾性率(弾性的に有効な鎖の数)の理論計算で予測する。(3) 転換速度の制御:任意の初期条件からゲル化点に到達するまでの時間、ゲルの融解に要する時間を分子ダイナミクスの視点から研究を行い、架橋反応経路や反応速度を温度や蒸気圧でコントロールする分子機構を解明する。

【成果報告書】 最終  平成21年度  平成20年度  平成19年度  平成18年度

光子相関解析によるソフトマターダイナミクス 
[ 研究代表者 ] [ 研究分担者 ] [ 研究分担者 ]
柴山充弘
東京大学
物性研究所
教授
伊藤耕三
東京大学
大学院新領域創成科学研究科
教授
遠藤 仁
東京大学
物性研究所
助教

研究内容

高分子ゲルは高分子鎖が架橋点により結合された高分子凝縮系の一つである。架橋様式としては従来からの多官能性モノマーから構成される点架橋に加えて、近年では、大きなアスペクト比をもつ円盤状粒子(粘土鉱物)から構成される面架橋や超分子のポリロタキサンによる可動性架橋など様々なゲルが注目されている。このようなゲルは、ゲル全体のダイナミクス、高分子鎖ダイナミクスに加えて、架橋点のダイナミクスなどの多彩なダイナミクスを内包する「マルチダイナミカルマテリアル」であり、架橋点が拘束場として作用し、非エルゴード性、スペックルなどの現象を呈する。また、高分子ゲルには多種多様な相互作用が働くことから、相転移現象や臨界現象などの様々な興味深い物理現象が観測されることも知られている。しかしながら、その複雑さゆえに、「高分子ゲル物理」はこれまで未だ十分な学問的研究がなされてきていなかった。本研究では光子相関解析を中心としたソフトマターダイナミクス研究を展開する。

【成果報告書】 最終  平成21年度  平成20年度   平成19年度  平成18年度

[ 公募研究(2009-2010) ]

高分子溶液の相分離における分子鎖凝集ダイナミクス
[ 研究代表者 ]
槇 靖幸
群馬大学
大学院工学研究科
助教

研究内容

高分子希薄溶液の相分離過程を、数10個の高分子鎖の凝集過程からマクロな液滴の生成に至るまでの時間領域にわたって調べ、高分子系に特徴的なレオロジー的性質が相分離ダイナミクスに与える影響を明らかにする。個々の高分子鎖のダイナミクスと鎖同士の凝集ダイナミクスとの相関を調べ、鎖の内部自由度(鎖構造の時間変化、凝集時の鎖の変形や混合)が凝集過程に与える影響について明らかにする。

【成果報告書】 最終  平成21年度

ブロック共重合体準希薄溶液中で選択溶媒に誘起されたミクロ相分離構造のダイナミクス
[ 研究代表者 ] [ 連携研究者 ]
岡本 茂
名古屋工業大学
大学院工学研究科
准教授
井上正志
大阪大学
大学院理学研究科
教授

研究内容

これまでに、分子量が100万g/mol程度の超高分子量ブロック共重合体の作製に成功した。その準希薄溶液は無秩序状態となるが、貧溶媒を添加することによりミクロ相分離が誘起され、秩序-無秩序転移点近傍で「単結晶」様の巨大グレインを自己組織に形成することを発見した。小角中性子散乱法による構造解析と、粘弾性測定による構造のダイナミクスの解析を合わせて、本系の準希薄溶液中のミクロ相分離構造の特徴を明らかにしたい。

【成果報告書】 最終  平成21年度

多様な変形モード下の高分子網目系ソフトマテリアルのダイナミクス
[ 研究代表者 ]
浦山健治
京都大学大学院
工学研究科材料化学専攻
准教授

研究内容

高分子ゲルやエラストマーなどの高分子網目系ソフトマテリアルのダイナミクスを多様な変形モード下で調べ、応力(ひずみ)場効果の包括的な理解を目指す。力学に顕著な時間依存性が現れる「高分子網目/ナノカーボン分散系」と「溶媒中にある膨潤ゲル」を主な研究対象とし、実験結果をもとに系の応力の時間・ひずみ依存性を記述する構成方程式の構築およびダイナミクスの機構を明らかにする。

【成果報告書】 最終  平成21年度

単一高分子鎖の直接観察に基づく高分子ダイナミクスの評価
[ 研究代表者 ]
青木裕之
京都大学
先端医工学研究ユニット
特定准教授

研究内容

個々の高分子鎖のすがたを直接観察し、その経時変化を直接追跡することが可能となれば、高分子材料の動的特性を研究する上で重要な知見を得ることができるものと期待される。本研究では、高分解能の光イメージングによって一本一本の高分子鎖のコンホメーションや鎖上の単一セグメントを可視化することで、高分子のダイナミクスを単一分子鎖レベルで評価することを目指している。近接場光学顕微鏡をはじめとする超解像技術の開発とともに、これを用いた単一分子観察によって(1)マクロな応力印加および応力緩和過程に伴う鎖のコンホメーション変化、(2)薄膜中における高分子鎖のダイナミクスを明らかにすることを目的としている。

【成果報告書】 最終  平成21年度

感熱応答性ブロック共重合体の水溶液中におけるミセル形成の分子機構
[ 研究代表者 ] [ 研究分担者 ] [ 連携研究者 ]
佐藤尚弘
大阪大学
大学院理学研究科
教授
四方俊幸
大阪大学
大学院理学研究科
准教授
遊佐真一
兵庫県立大学
大学院工学研究科
准教授

研究内容

感熱応答性高分子鎖と水溶性高分子鎖からなるブロック共重合体は,ドラッグデリバリーシステムやナノリアクターとしての利用が期待され,その精度の高い構造体の特性化と構造形成機構の根本的な理解が必須である。本研究課題では,poly(N-isopropylacrylamide)-b-poly(N-vinyl-2-pyrrolidone)を中心に,ミセル化を引き起こす水との相互作用、高分子鎖間相互作用、およびミセル構造を誘電分散・赤外吸収・光散乱法により詳細に調べ,ミセル化機構の本質を明らかにする。

【成果報告書】 最終  平成21年度

異種固体との接触界面における高分子のダイナミクス
[ 研究代表者 ] [ 研究分担者 ]
田中敬二
九州大学
大学院工学研究院
教授
森田裕史
産業技術総合研究所
ナノテクノロジー研究部門
主任研究員

研究内容

本研究では、異種固体界面における高分子のガラス転移温度(Tg)の直接評価、界面近傍におけるTgの深さ依存性の解明、シミュレーションによる結果との比較・検討、固体基板で挟んだ超薄高分子の誘電緩和および動的力学緩和測定による結果との比較・検討、異種固体界面における分子鎖の凝集状態とTgの関係の解明、を行うことで、異種固体と接触した高分子のセグメント運動レベルにおけるダイナミクスを明らかにすることを試みる。

【成果報告書】 最終  平成21年度

イオン液体中の動的秩序構造とそのダイナミクスに関する研究
[ 研究代表者 ] [ 研究分担者 ]
高橋良彰
九州大学
先導物質化学研究所
准教授
高田晃彦
九州大学
先導物質化学研究所
助教

研究内容

代表的なイオン液体である1-butyl-3-methylimidazolium chloride(bmimCl)で申請者らが見いだした、LiClの溶解による著しい粘度の増加現象や、高ずり速度領域で現れる非ニュートン性が、どのような機構で出現するのか解明することを目的として、bmimClと水ならびに種々の有機溶媒の混合系を試料として、その動的秩序構造とダイナミックスを検討する。

【成果報告書】 最終  平成21年度